椰子の実+海上の道/島崎藤村+柳田国男 [ 本の部屋]
椰子の実+海上の道/島崎藤村+柳田国男
柳田国男の著書「海上の道」の中に、愛知県の「あいち」の由来の説明があります。「あえ」の「よる」「ち」...珍しいものが流れよってくる地...と説明されていたと思います。
島崎藤村によってつくられた「椰子の実(名も知らぬ 遠き島より...という歌です)」という歌は、友人である柳田国男から愛知県の渥美半島で拾った椰子の実をのこと聞いたことから作られたといわれています。だから、島崎藤村は実際には椰子の実を見ていません。
日本では、あまりお目にかかれない椰子の実が、浜に流れ寄ったおかげで、一人には著作を、一人には詩を作らせたというわけです。
海は、いろんなものを運んでくれます。
かつての日本人の行動力はかなりのもので、特に海に面した所で生活していた人達は、船を利用することで、今とは違った交流や文化圏を作り出していました(日本の沿岸部に限らず、沖縄や韓国、中国にまで..)。「日本人は、農耕民族だ」ということが通説みたいになっていますが、漁師さんは、どう考えたって狩猟民族ですよね。これだけ海に囲まれている国の人々を「農耕民族」でまとめてしまうなんて随分と乱暴だと思います。
今「常識だ」と思っていることは実はたいした「常識」ではなくて、単なる先入観であったりする場合があります。
物事を、先入観で判断してしまわないように、いろいろなことを勉強しないといけないんでしょうね。そして、こうした目のウロコを落としてくれる本こそ、大事に読まれるべきだと思います。
■柳田国男の本
柳田国男全集〈6〉秋風帖・女性と民間伝承・桃太郎の誕生:皆さんの知ってる桃太郎のお話は、いつ誕生したのか? 千年前? 五百年前? いえいえ...
- 作者: 柳田 国男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
柳田国男の本は「目からウロコ」です。何か1冊読んでみて下さい。
■島崎藤村の本
藤村詩抄「椰子の実」が入っている『落梅集』も収められています。
- 作者: 島崎 藤村
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
■椰子の実の詩を見たくなったら(歌いたくなったら?)
二木紘三のMIDI歌謡講座:リンクするとBGMが流れてきます。詩も付いているので歌ってみて下さい。(^^)
ジョウビタキさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-12-26 18:05)