ジョージ・シーガル [ アートの部屋]
ジョージ・シーガル [GEORGE SEGAL] (1924年〜2000年)
1949年 ニューヨーク大学卒業
1956年 表現主義的な人物像を発表。
1961年 石膏を滲みこませた外科用の包帯で、人体から直接型を取ることを発案。
一貫して人体をかたどった石膏像を制作。衣服を着たままの日常的光景を(時には背景とともに)切り離し、日常からかけ離れた存在にしてしまう。彼自身は「凍りついたハプニング」とよんでいる。
2001年、東京渋谷Bunkamuraで見た。これは、彼が亡くなって最初の回顧展でもあった。
石膏にかたどられてしまった人の姿は、なんとも不思議な感じがする。特に、内型によって作られた女性のヌードは、細部までリアルなのだが、現実味を感じないという「へんな」感じなのである。
なぜか...体が切り離され、再構成されているから? 体に色が塗られているから? 目をつぶっているから? デッサンにも同じ印象を受けた。かつて油絵に描かれていた女性のポーズは、再構成された石膏のポーズとして再現されていた。
私たちは当たり前のように、今日ある日常は、連続していて、明日も続くものだと思っている。それを切り離し、あるいは時間を止めてしまうことで、突然、非日常へと追いやられる。客観視する余裕は与えられず、目の前の光景を、どう受け止めるのか...心の中で模索する...そんな心理が戸惑いとなって、見るものに「へんな」感じを与えるのかもしれない。
シーガルの作品は以前にも見ていたが、1つか2つの作品が並んでいるだけで、戸惑うほど非日常に追いやられることはなかった。しかし、このシーガル展は、内容も充実していていて、多数の石膏作品に長時間囲まれるという体験は、彼の意図する非日常「凍りついたハプニング」を効果的に感じさせていた。
彼が提示する非日常は、「へんな」感じはするが、決して「いやな」感じではない。そこには、シーガルの、目の前に居るものに対する愛情が満ちているからだと思う。これは、アートにとって、とても大事なことだ。
■ジョージ・シーガル作品集
- 作者: George Segal, Joan Pachner, Carroll Janis
- 出版社/メーカー: Mitchell-Inness & Nash
- 発売日: 2004/02/01
- メディア: ペーパーバック
hideyaさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2010-05-22 18:05)