博士の愛した数式/小川洋子 [ 本の部屋]
遅ればせながら、「博士の愛した数学」を読んだ。
小説を読む習慣を失って久しく、これを原作にした映画がヒットしているのを横目で見ながらも...とうとう読む時期を失していた。
それが最近、藤原正彦の「国家の品格」を読み(これも随分と遅ればせ!)、それが縁で(「博士の愛した数学」を書く際、小川洋子は数学者・藤原正彦にインタビューをしている。文庫本のあとがきに、藤原正彦がその時の様子を懐かしげに書いている)、「博士の愛した数学」に辿り着くことができたというわけだ。
これは上質な恋愛小説なのだろうか? 小川洋子の文章は、直接感情を表現する変りに、物に接する際の人の仕草を使って感情を伝える。それが、上着の袖であったり背中であったり、あるいは数字や数式であったり。
昔、利休という人がいて、彼は少し大きめの黒い服を着て(黒子のように、しかし指先だけは見えている)、自分の仕草を増幅して(もちろん、あることを相手に伝えるために)、お茶をすすめたという。
大げさでなく、木の葉が揺れるような仕草であっても、感情は伝えることができる...という日本の伝統を感じさせる文章でした。
なんにしても、小川洋子の文章が、80分しか記憶を保てない数学博士を、最もロマンティックな主人公にしていることは間違いない。
本題からは逸れているかもしれませんが、本の内容は皆さん知っているでしょうし...。
「博士の愛した数式」に登場する数学者のモデル、ポール・エルデシュというハンガリー出身の数学者の名前が挙がっている。彼は多くの数学者とコラボレートし、生涯に1500編もの論文を共著という形で残している。また、1日に19時間は数学のことを考えていたという。ポール・ホフマン が「放浪の天才数学者エルデシュ」という伝記を書いているそうだ。
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#本の部屋
小説を読む習慣を失って久しく、これを原作にした映画がヒットしているのを横目で見ながらも...とうとう読む時期を失していた。
それが最近、藤原正彦の「国家の品格」を読み(これも随分と遅ればせ!)、それが縁で(「博士の愛した数学」を書く際、小川洋子は数学者・藤原正彦にインタビューをしている。文庫本のあとがきに、藤原正彦がその時の様子を懐かしげに書いている)、「博士の愛した数学」に辿り着くことができたというわけだ。
これは上質な恋愛小説なのだろうか? 小川洋子の文章は、直接感情を表現する変りに、物に接する際の人の仕草を使って感情を伝える。それが、上着の袖であったり背中であったり、あるいは数字や数式であったり。
昔、利休という人がいて、彼は少し大きめの黒い服を着て(黒子のように、しかし指先だけは見えている)、自分の仕草を増幅して(もちろん、あることを相手に伝えるために)、お茶をすすめたという。
大げさでなく、木の葉が揺れるような仕草であっても、感情は伝えることができる...という日本の伝統を感じさせる文章でした。
なんにしても、小川洋子の文章が、80分しか記憶を保てない数学博士を、最もロマンティックな主人公にしていることは間違いない。
本題からは逸れているかもしれませんが、本の内容は皆さん知っているでしょうし...。
「博士の愛した数式」に登場する数学者のモデル、ポール・エルデシュというハンガリー出身の数学者の名前が挙がっている。彼は多くの数学者とコラボレートし、生涯に1500編もの論文を共著という形で残している。また、1日に19時間は数学のことを考えていたという。ポール・ホフマン が「放浪の天才数学者エルデシュ」という伝記を書いているそうだ。
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My Brain is Open―20世紀数学界の異才ポール・エルデシュ放浪記
- 作者: ブルース シェクター
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2003/09
- メディア: 単行本
takagakiさん、nice!をありがとうございます。
by room7 (2008-04-26 21:40)