プルースト...時代の証人 [ 人の部屋/しりとり]
◆人名しりとり...ぷ
プルースト(ヴァランタン=ルイ=ジョルジュ=ウジェーヌ=マルセル・プルースト/Valentin-Louis-Georges-Eugène-Marcel Proust/1871.7.10〜1922.11.18)フランスの作家。
プルーストは莫大な財産を若くして相続している。そしてユダヤ人の血が半分流れている。
もちろん!「失われた時を求めて」は読んでいない。何度も古本屋でうずたかく積まれた全巻を眺め、ため息をついた。
どうせ読むなら...
そんな怠惰な私に、プルーストに(ほんの少し)お近づきになれる映画があった。「スワンの恋」。監督は「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ。ドイツ人の監督。「失われた時を求めて」と「ブリキの太鼓」...一見、描く世界は対極にありそうだが、2つの作品の展開のされかた(記憶と時間、それを結びつける存在)に、共通性を感じたりもする。
「スワンの恋」は「失われた時を求めて」最初の章にあたり、全体のほんの一部を映画化しているわけだが、最初の章であるだけに、全体の雰囲気を知る上では、役に立つのではないだろうか(読んでない私がいうのだから...?)
世紀末、耽美、社交、高級娼婦、スノッブ...ヨーロッパというのは、こうした歴史(文化)を踏まえて現在に至っているわけで、現代日本に生まれ育った私には初めて知る出来事が、映像として美しく強烈に、そして淡々と語られる。
主人公がイメージの扉を開く鍵(スイッチ)のような存在が、物語を進めるにあたって重要な役割を担っている。
記憶の断片が押し込められた小さな存在。記憶を甦らせる鍵のような存在。そうしたものを私たちは(多分)たくさん持っている。普段は気づきもしないで見過ごしているのだが、そんな小さなものや鍵の存在が、近頃はとても大切に思える。
プルーストは1913年から書き始めたらしいが、健康にも優れぬ中での42歳。51歳で亡くなるまで書き続けた。
上の写真は、亡くなる直前の1922年5月18日、パリのマジェスティック・ホテルで、ジェームス・ジョイス、パブロ・ピカソ、セルゲイ・ディアギレフ、イゴール・ストラヴィンスキーと一緒に食事を共にした時に撮られたものらしい。信じられない。そんな時代だったんだ。
◆「スワンの恋」解説
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD11063/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/2042/
他に、「失われた時を求めて」を扱った映画に「見出された時~「失われた時を求めて」より~」がある。監督はラウル・ルイス。最近は「クリムト」を監督しているチリ出身の監督だ。こちらは、「失われた時を求めて」の最終章を描いている。
◆フォルカー・シュレンドルフの他の映画
◆ラウル・ルイスの映画
◆プルーストの本
失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
- 作者: マルセル プルースト
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
失われた時を求めて〈10 第7篇〉見出された時 (ちくま文庫)
- 作者: マルセル プルースト
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1993/07
- メディア: 文庫
いっぷくさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-05-26 22:42)
takagakiさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-05-27 23:24)