色の浮遊-3つの破裂した小屋/ダニエル・ビュレン [ アートの部屋]
ダニエル・ビュレン...というと「ストライプ」。慶事の紅白垂れ幕を見るだけで、誰もが思い出す、ダニュエル・ビュレン。そんなダニエル・ビュレンの力作が、豊田市美術館にある。
1970年の作品「無題」
こちらは...
ビュレンの作品は、確かに初期の頃から「ストライプ」であったが、1986年のパリのパレロワイヤルの中庭の作品( "Les Deux Plateaux")あたりから、特に空間への志向が強まったのではないかと思う。
◆「Les Deux Plateaux」は、こんな作品
そんな空間志向のダニエル・ビュランの作品は、壁をも貫く(もちろんイメージとして)。この「色の浮遊-3つの破裂した小屋」という作品は、文字通り鏡面と赤・青・黄の3色を組み合わせた天井のない3つの「小屋」から成っているが、「ダニエル・ビュラン展」でこの作品が展示された時には、美術館内の展示室にもその形態が設置されていた。色は鏡面に緑色であり、屋外の展示に呼応する形で置かれていた。
今は、取り外されている。
今、世間では、日本人によるイタリアの世界遺産への落書きが話題になっているが、今年のはじめ、ダニエル・ビュレンのこの作品が破損していて、器物損壊の疑いもあるとみて調べているようだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080113/crm0801132231013-n1.htm
豊田市美術館は、そのコレクションも素晴らしいのだが、特に作品との距離が近いところが評価できる。屋外の彫刻作品に触れることもできるし、館内でのスケッチや写真撮影もフラッシュを使わない限りOKだったと思う。これは、ヨーロッパの美術館では当たり前のことかもしれないが、日本ではまだまだ少数派に属する対応だと思う。来館者へのサービスを重視する豊田市美術館側の対応に対して、見る側は、その恩恵を十分に意識しなければならない。世界でトップクラスの作品を心行くまで間近で見、しかも触れることができ、写真に収めることができるのだから。
作品の周りにロープが張られ、手荷物をチェックされるような美術館は、作者も観客も望むものではないはずだ。
法則に従って置かれた「小屋」
ダニエル・ビュレン(Daniel Buren/1938.3.25〜 )フランスの現代芸術家。
1986年に作成したパリのパレロワイヤルの大きな中庭の3000 ㎡の彫刻作品 "Les Deux Plateaux"は、歴史的建築物に対する「挑発」としても話題になった。(http://fr.wikipedia.org/wiki/Daniel_Buren)
2007年の高松宮殿下記念世界文化賞(絵画)を受賞。
◆ダニエル・ビュレンのオフィシャルサイト
http://www.danielburen.com/
Daniel Buren (Arte Hoy/ Art Today)
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- 出版社/メーカー: Nerea
- 発売日: 2008/05
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Daniel Buren Eye Of The Storm: Works In Situ
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Daniel Buren: Erscheinen, Scheinen, Verschwinden
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◆ダニエル・ビュレンの作品を見る
xml_xslさん、takagakiさん、いっぷくさん、Qちゃんさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-07-05 20:43)