リオの謝肉祭...黒いオルフェ/マルセル・カミュ [ 映画の部屋]
この世に生まれでた数多くの物語の中で、いつの時代でも、どんな地域でも共通して、人の心に影響を与える物語というものが幾つかある。
「オルフェ」の物語もそんな一つで、愛する者を失った男が、黄泉の世界を訪れ、死の支配者から愛する者を奪い返そうとする。奪い返すために一つのゲームが用意され、「振り返ってはならない」というとてもシンプルなルールが与えられる。男は後一歩で完遂というところで禁を犯し悲劇を生む。
似たような物語は、日本にも存在する。日本書紀の「イザナギとイザナミ」。こちらは、もっと恐ろし気な結末となるが...。
そんな世界共通感覚を持つ「オルフェ」は、もちろん映画にもなっている。有名なところではジャン・コクトーの「オルフェ」なのだろうが、もう一つ印象に残る映像がマルセル・カミュの「黒いオルフェ」。
この2つのオルフェは、同じ題材を元にしていながら、「静と動」のまったく正反対の印象を受ける。
コクトーの美意識を反映した完璧な美術や衣装やカメラワークに対して、生気に満ちた市井のカーニバルの街、リオデジャネイロ...とその闇。
生と死を扱った舞台の設定としては...個人の好みもあるだろうが、この2つの映画は対極にあるのではないだろうか...と考えてみたりもする。
アントニオ・カルロス・ジョビンの音楽も忘れることはできない。
#映画の部屋
takagakiさん、nice!をありがとうございます。
by room7 (2009-03-01 23:00)