わたしの可愛い人 シェリ/スティーヴン・フリアーズ [ 映画の部屋]
「あなたと同じ日に死にたいと思うほど、愛してきたわ」...ポスターに書かれた、この情熱的な台詞は、物語の終了直前に語られる。この瞬間まで、この溢れ出るほどの情熱が画面に溢れ出てくることはない。そしてこの台詞の語られた後も...。愛し合う2人の表情や仕草を読み解くことで、見るものは情熱の度合いを推し量っていく。ミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)の演技は素晴らしい。
情熱を逆説的にシニカルに技巧を尽くして表現している。その一方で、人生で学ぶべきことが語られている。「私は欲しいものは手に入れてきた。今度は孫が欲しいのよ。」「あんな下品な紫色の服が似合うのは、彼女しかいない。」 ココット(高級娼婦)のリアルな会話は、とても現代的だ(当然なことだが)。
年老いた世代のココットの家が重めなインテリアであるのに対して、情熱的な恋に走る、自由なココット(ミシェル・ファイファー)の住まいが、アール・ヌーボーでできているのも、わかりやすい対比だ。
ギマールのデザインも登場し、「ああ、彼はこうした時代に、こうした人たちのためのデザインをしていたんだな...」と、別の視点でアール・ヌーボーを感じることができた。
青年は、ミシェル・ファイファーのことを「ヌー・ヌー」と呼ぶ。"m"で始まらず、"n"で始まっている所が、母親のようでいて母親ではない存在として(恋愛の対象となる存在として)、子どもの頃から感じ取っていたのではないだろうか?
他に、もっと感じることはあったが...小野小町的...詳しく書くのは止めておきたい。
原題は、"CHÉRI"。監督のスティーヴン・フリアーズ(Stephen Frears)は、1941年6月20日、イギリス生まれ、ケンブリッジ大学を卒業。
主な監督作品
マイ・ビューティフル・ランドレット My Beautiful Laundrette (1985)
プリック・アップ Prick Up Your Ears (1987)
危険な関係 Dangerous Liaisons (1988)
グリフターズ/詐欺師たち The Grifters (1990)
靴をなくした天使 Hero (1992)
スナッパー The Snapper (1993)
ジキル&ハイド Mary Reilly (1996)
ハイロー・カントリー The Hi-Lo Country (1998)
ハイ・フィデリティ High Fidelity (2000)
がんばれ、リアム Liam (2000)
堕天使のパスポート Dirty Pretty Things (2002)
ヘンダーソン夫人の贈り物 Mrs. Henderson Presents (2005)
クィーン The Queen (2006)
わたしの可愛い人 シェリ Cheri (2009)
「クイーン」はまだ見ていないので見てみようか...という気になった。
■「わたしの可愛い人 シェリ」の公式サイト
http://www.cetera.co.jp/cheri/
■「わたしの可愛い人 シェリ」解説
http://www.cinematoday.jp/movie/T0009091
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/23167/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD16830/index.html
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