胎児の世界/三木成夫 [ 本の部屋]
胎児の世界
中公新書から、三木成夫の「胎児の世界」という本が出ている。サブタイトルに「人類の生命記憶」とあるように、地球に生命が誕生してからの1億年間(魚類>両生類>は虫類>類人猿)の変化を、胎児が母体の中にいる10ヶ月の間で体験しているという内容で、その展開の見事さが、とても強く印象に残っている。
実は、この本を読むより先に、本人に会っていて、それが縁で、この本を読んだのだが...。人の持つプリミティブな感情が、現代の都市の形成に対しても、有効に働いていることを、理論的に説明してもらい、そのスケールの大きな発想に感動を覚えた。
「胎児の世界」を読むと、人は自分一人、孤立して存在しているのではなく、今、すれ違った見知らぬ誰か(あるいは、動物でもいいのだが)とも、部分的に過去の記憶を共有しているという気持ちになる。
物事を着想する時、「様々な視点から考えることが重要だ」といわれるが、この本は、まさに、そのことを実感させてくれる。
■参考サイト
瀬戸の松籟:三木成夫の生涯と業績を紹介
吉本隆明、養老孟司、中村雄二郎、市川浩、赤瀬川原平、芹沢俊介らが、三木成夫について語っています
「がんばらない」の鎌田實は、三木成夫の弟子だということを週刊朝日の連載”がんばらないけどあきらめない”に書いていました
■ 三木 成夫の本
ヒトのからだ—生物史的考察あの「共同幻想論」で吉本ばななの父親の吉本隆明が長い解説をしています
- 作者: 三木 成夫
- 出版社/メーカー: うぶすな書院
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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