レンブラントの夜警/ピーター・グリーナウェイ [ 映画の部屋]
まず驚いたのが、役者さんが自画像のレンブラントにソックリだということ。その次に驚いたのが、登場人物の複雑な人間関係とそこに生まれるドラマ。そしてやっぱり、ピーター・グリーナウェイ(Peter Greenaway)の挑戦。
レンブラントの生きた時代がハッキリと見えてくる(見せてくれる)。スペイン国王の勢力を一掃し、貿易による富を得、内乱の続くイギリスより優位な立場にあった。日本の立場から言えば、日本にとって唯一開かれた外国でもあった(オランダ貿易)。市民の商業活動(金融も?)によって世界の中心に位置しようとしていた時代の出来事なんだ...。そうした活気・勢いみたいなものも、台詞の言い回しから伝わってくる。
それはさておき...
ピーター・グリーナウェイの映画の表現を極限にまで広げようとする試みは、「コックと泥棒、その妻と愛人」や「プロスペローの本 (Prospero's Books/1991)」、「ベイビー・オブ・マコン(The Baby of Mâcon/1993)、「ピーター・グリーナウェイの枕草子(The Pillow Book /1996)」あたりでも(もちろん、もっと初期の作品からでもそうなのだろうが)、十分に感じることができるが、ここでは「絵画ー舞台ー映像」という関係をもう一度考える切っ掛けを与えてくれる。
「レンブラントは『肖像画を舞台の登場人物のように扱う』ことで、彼らを告発している。」という解釈が与えられ、そのための舞台のようなセットと演出。あるいは、解説のための伏線まで用意されている。
レンブラントが、絵画を舞台のようにあつかったのなら...グリーナウェイは、映画をどのように扱おうとしたのだろう?
レンブラントによって舞台となった絵画を、(舞台を介し)再び絵画に戻したのではないだろうか? そんな思いを想起させるほどに、もちろん画面は美しい(上記に掲載した場面のように、絵画と映画の境目はない)。
いろいろ考えさせてくれる映画である。
◆ピーター・グリーナウェイのサイトの解説ページ
http://www.petergreenawayevents.com/petergreenaway.html
◆レンブラントの夜警 オフィシャルサイト
http://eiga.com/official/nightwatching/
◆解説サイト
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11933/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/20325/
http://cinematoday.jp/movie/T0005674
「ザ・ピロー・ブック」撮影日誌―ピーター・グリーナウェイの枕草子
- 作者: 王 愛美
- 出版社/メーカー: 清水書院
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
◆その他のピーター・グリーナウェイ
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◆関連ページ
(レンブラント)http://room7.blog.so-net.ne.jp/2006-06-07
(ピーター・グリーナウェイ 枕草子)http://room7.blog.so-net.ne.jp/2005-05-31
#映画の部屋
レンブラントの夜警をアムステルダムで見ましたが、
集団肖像画なるものがあまりにも多く展示されていて
驚きました。
by いっぷく (2008-03-22 09:51)
いっぷくさん、nice!とコメントありがとうございます。アムステルダムで夜警、うらやましいです。集団肖像画というのが、1つのジャンルとして成立しているのですね。昔、部屋の壁一面に飾られた絵画を見て、絵画に対する感覚が違うな〜と感じたことがありましたが、集団肖像画に囲まれるともっと強烈にいろいろ考えてしまうかもしれませんね。
by room7 (2008-03-23 17:56)
xml_xslさん、takagakiさん、nice!ありがとうございます。
by room7 (2008-03-23 17:57)