クジラの島の少女/ニキ・カーロ [ 映画の部屋]
トロントやサンダンス映画祭で観客賞を受賞したニュージーランド映画。原題は"Whale Rider"。監督は、マオリ出身の女性監督ニキ・カーロ(Niki Caro)。主人公パイケアを演じるケイシャ・キャッスル=ヒューズが素晴らしい。
ニュージーランドのマオリの部族長の孫娘として生まれた主人公パイケアは、出産時に母親と双子の弟(兄かもしれないが)を亡くしている。祖父としては、反目する自分の息子(つまりパイケアの父親)に代わって、自分の跡を取らせ、マリオ族の伝統を継承させるたかった。したがって、この時点で、父親やパイケア、あるいは亡くなった母親に対する情愛を見ることはできない。死んだ孫息子に対する族長としての落胆が大きくクローズアップされる。そこには、孫娘に見向きもしない部族長としての姿がある。
12年後、成長した孫娘と楽しそうに自転車に乗る祖父。そこには美しく賢く優しく育った孫娘に対する愛を感じる祖父としての姿があるのだが...。
この時点では、自分の長男(パイケアの父親)が、再び村に戻り、マオリの女性と結婚し、自分の跡を継ぎ、男の子の孫を得ることを諦めきってはいない。しかし、それが無理だと知った時、祖父は宿命を背負った族長の姿に変わる。
孫娘であるパイケアは、(少なくとも外見上は)変わってしまった祖父に変わらぬ愛を持ち続け、自分を祖父に受け入れてもらおうと、部族の伝統の継承者になろうとする...。しかし、それは祖父の望むものではなく強く拒絶される。理由は男ではないから。
結局、祖父は孫娘を受け入れる(多分、それ以上のことになってしまうが)のだが、それは、パイケアが奇跡を起こし、マオリ族の伝説上の指導者であることを示したドラマの最後の場面ということになる。
ベッドで気を失っているパイケアに対して、「指導者」という言葉が発せられた時、この老人の業の深さが見て取れた...愕然とするが...しかし、それも無理はない、年々分散し力を失っていく民族の責任者として、長年つらい思いをしてきたのだから...と理解に努める。
ラスト、大きなカヌーに乗った2人、祖父がパイケアの肩を抱き(跪いてなくてよかった...)、2人が笑顔でいてくれて救われた。
そう思わせてくれる背景として、奇跡を起こす前のパイケアのスピーチが効いている。彼女なら(指導者としてではなく、人間として、家族として)、祖父の心を癒してくれるに違いないと。
映画自体、見事な構成で見事な展開がされていくが、この映画の核となっているパイケア役のケイシャ・キャッスル=ヒューズは、とても魅力的だ。この後スターウォーズに出演したり、最近発表された作品もあるようだが、彼女は、この映画のオーディションで選ばれデビューした。クジラの島での奇跡が、今も続いているのかもしれない。
◆オフィシャルサイト
http://www.herald-arthouse.com/kujira/index.html
◆映画の解説
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33205/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/20565/
http://cinematoday.jp/movie/T0001557
◆「マリア」の解説
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11554/
◆「マリア」のオフィシャルサイト
http://maryandjoseph.jp/
◆ニキ・カーロの作品
#映画の部屋
ニュージーランドのマオリの部族長の孫娘として生まれた主人公パイケアは、出産時に母親と双子の弟(兄かもしれないが)を亡くしている。祖父としては、反目する自分の息子(つまりパイケアの父親)に代わって、自分の跡を取らせ、マリオ族の伝統を継承させるたかった。したがって、この時点で、父親やパイケア、あるいは亡くなった母親に対する情愛を見ることはできない。死んだ孫息子に対する族長としての落胆が大きくクローズアップされる。そこには、孫娘に見向きもしない部族長としての姿がある。
12年後、成長した孫娘と楽しそうに自転車に乗る祖父。そこには美しく賢く優しく育った孫娘に対する愛を感じる祖父としての姿があるのだが...。
この時点では、自分の長男(パイケアの父親)が、再び村に戻り、マオリの女性と結婚し、自分の跡を継ぎ、男の子の孫を得ることを諦めきってはいない。しかし、それが無理だと知った時、祖父は宿命を背負った族長の姿に変わる。
孫娘であるパイケアは、(少なくとも外見上は)変わってしまった祖父に変わらぬ愛を持ち続け、自分を祖父に受け入れてもらおうと、部族の伝統の継承者になろうとする...。しかし、それは祖父の望むものではなく強く拒絶される。理由は男ではないから。
結局、祖父は孫娘を受け入れる(多分、それ以上のことになってしまうが)のだが、それは、パイケアが奇跡を起こし、マオリ族の伝説上の指導者であることを示したドラマの最後の場面ということになる。
ベッドで気を失っているパイケアに対して、「指導者」という言葉が発せられた時、この老人の業の深さが見て取れた...愕然とするが...しかし、それも無理はない、年々分散し力を失っていく民族の責任者として、長年つらい思いをしてきたのだから...と理解に努める。
ラスト、大きなカヌーに乗った2人、祖父がパイケアの肩を抱き(跪いてなくてよかった...)、2人が笑顔でいてくれて救われた。
そう思わせてくれる背景として、奇跡を起こす前のパイケアのスピーチが効いている。彼女なら(指導者としてではなく、人間として、家族として)、祖父の心を癒してくれるに違いないと。
映画自体、見事な構成で見事な展開がされていくが、この映画の核となっているパイケア役のケイシャ・キャッスル=ヒューズは、とても魅力的だ。この後スターウォーズに出演したり、最近発表された作品もあるようだが、彼女は、この映画のオーディションで選ばれデビューした。クジラの島での奇跡が、今も続いているのかもしれない。
◆オフィシャルサイト
http://www.herald-arthouse.com/kujira/index.html
◆映画の解説
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33205/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/20565/
http://cinematoday.jp/movie/T0001557
◆「マリア」の解説
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11554/
◆「マリア」のオフィシャルサイト
http://maryandjoseph.jp/
◆ニキ・カーロの作品
#映画の部屋
takagakiさん、nice!をありがとうございます。
by room7 (2008-05-24 23:15)