ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン/ホウ・シャオシェン [ 映画の部屋]
ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン
「アルベール・ラモリスの「赤い風船」に捧げる」というクレジットが付いている。映画館では「赤い風船」の上映に合わせるかたちで公開していた(2007年カンヌ国際映画祭でもそうなのだから、これが正しいあり方なのだろう)。ただ、「赤い風船」と連続してみるより、少し間を置いた方がよいのでは...という動物的感が働き、最終日間際に観てきた。また、パリのオルセー美術館開館20周年記念事業の一環として、オルセー美術館の全面協力の下に製作されている。
◆「赤い風船」に関する記事
http://room7.blog.so-net.ne.jp/2008-08-06
◆「白い馬」に関する記事
http://room7.blog.so-net.ne.jp/2008-08-09
アルベール・ラモリスの「赤い風船」は、少年の視点から風船を見る(追いかける)...のに対して、ホウ・シャオシェンの「レッド・バルーン」は、風船が少年の生活を覗き見る...という感じがする。
あと、ラストの持っていき方も随分と違う感じで、「赤い風船」では、少年は多くの風船に連れられて大空へ...という感じだが、「レッド・バルーン」では、現実の中で生きる少年を確認すると(、風船は大空へ飛び去っていく...という感じがした。
全体的に、「赤い風船」より「レッド・バルーン」の方が、現実を力強く描いている。
...というより、この2つの映画は細かく比較すべき関係ではないだろう...
ホウ・シャオシェンにとって、「赤い風船」は映画の世界に入るきっかけにであり、「赤い風船」が生み出す雰囲気に対して”憧れ”のようなものを抱いていたのではないだろうか(それは、アルベール・ラモリスの持つ”自由”であり、”魔法”の様なもの...)。それだけ、「赤い風船」に憧れ自ら映画撮影を試みる中国人学生ソン・ファンが効いている。
なにしろジュリエット・ビノシュの演技に驚く。演技には見えない。フランス人のおばさん(失礼!)って、あんなんだよな〜〜と思わず思わせるほど、何の違和感もない。逞しい。
予告編を見たときに、メロドラマに近い雰囲気を感じたのだが...その思いは何だったんだ? 全然違った印象を持った。よい方に裏切ってもらえた。
映画自体とは関係ないが、パリでの生活が、空間や時間をシェアしあう姿で描かれているのが印象に残った。ベビーシッター、ピアノ先生、部屋貸し、...家族?。都市で生活するにあたって、こうしたシェア(浅薄ではない人間関係)が、が不可欠のもののように描かれる。(現実にこうなのかもしれないしが、ホウ・シャオシェンらしい人間関係の描き方とも言える)。
映像的には、ガラスを使った透過と反射の映像の重ね合わせに時間を取っていて、その間にいろいろな意味を考えさせてくれるシーンが多かったように思う。
侯 孝賢(ホウ・シャオシェン/Hou Hsiao Hsien/1947.4.8〜 )中華民国(台湾)の映画監督。1947年広東省梅県に生まれ、幼少の頃台湾に移住した客家系台湾外省人。十代で両親と祖母を亡くしており、高校卒業後は大学受験に失敗し3年間の兵役についている。
この間、多くの映画を見て、俳優に憧れ国立芸術専科映画演劇科に入学した。卒業後、販売の仕事をした後、映画の世界があきらめきれず、記録係や助監督を経て、1980年に「ステキな彼女」で監督デビューを果たしている。
◆映画の解説
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD12562/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/21297/
http://cinematoday.jp/movie/T0006556
◆「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」オフィシャルサイト
http://ballon.cinemacafe.net/rb/index.html
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#映画の部屋
ああ、みそびれました。
ジュリエット・ビノシュ好きなのに。
DVDになるのを待ちます。失敗したなぁ
by ももこ (2008-08-27 13:14)
ももこさん、nice! とコメントありがとうございます。私も予告編が???だったので迷いましたが、意を決して見に行きました。ジュリエット・ビノシュは久しぶりだったので、昔のイメージを引きずらないで見ることができたかもしれません。
by room7 (2008-08-27 22:26)
takagakiさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-08-31 23:30)