バリー・リンドン/スタンリー・キューブリック [ 映画の部屋]
「バリー・リンドン(Barry Lyndon : 1975年)」監督:スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)
スタンリー・キューブリックというと、どんな映画を思い出されるだろうか?
「博士の以上な愛情」「時計仕掛けのオレンジ」「2001年 スペースオデッセイ」「シャイニング」...どれも強く印象に残る映画ばかりだ。
そんなスタンリー・キューブリックが、「時計仕掛けのオレンジ」と「シャイニング」の間に撮った映画が「バリー・リンドン」である。
「身分の低い男が、いかにしてバリー・リンドン卿にまで上り詰め、破滅に至ったか」...原作はウィリアム・メークピース・サッカレー。
このようなテーマを、いったい誰が2部構成の絢爛豪華なとても長い映画にするのだろうか...スタンリー・キューブリックである。
なんていうことはない男の話を、卓越したイマジネーションで人物を作り、光景を作り、シーンを生み出す...と本物の物語になる。
使っている自然は本物の自然(映画のために探し出した)。使っている光は自然の光(太陽光とロウソクの光で撮るための特別な装置)。着ているものも本物...に近い(ヨーロッパ中からかき集めた本物は小さくて仕立て直した)。
そうしたことを考え合わせると、「時計仕掛けのオレンジ」と「シャイニング」の間に撮った映画であることに、なんの違和感も感じない。
スタンリー・キューブリックは、映画の中に結論づけたメッセージを表記することはない。ある意味、淡々としている。しかし、スタンリー・キューブリックの生み出す映像によって、ある種の結論じみたものを、私たちは心の中に描き留めることができる。それには明確な実体はないのだが、それだからこそ映画が生み出すものとして、とても価値のあるものだと思うのだ。
彼の撮る映画には原作があり、それを読んで映像化したいと思ったものを、脚本にしていった。したがって...彼の作った映画のジャンルが多岐にわたるのは、彼の関心領域の広大さ(知的テリトリーの広さ)を証明しているとも考えられる。
◆主な映画の原作者一覧
ウィリアム・メークピース・サッカレー「バリー・リンドン」
アーサー・C・クラーク「2001年 スペースオデッセイ」
アントニイ・バージェス「時計仕掛けのオレンジ」
スティーヴン・キング「シャイニング」
そしてもう一つ...「バリー・リンドン」を見るべき理由として、リンドン夫人、マリサ・ベレンスン(Marisa Berenson)に出会えることを付け加えておきたい。
◆映画の解説
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD7352/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/15632/
スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick/1928.7.26〜1999.3.7)アメリカの映画監督。のちイギリスに住む。
ポーランドユダヤ人のの長男としてニューヨークのブルックリンで生まれる。初期の頃より、監督のみならず映画製作全般にわたり、すべてを掌握する姿勢をとり続けた。「完全主義者」といわれ、特に晩年は映画製作に時間がかかることでも有名だった。(http://ja.wikipedia.org/wiki/スタンリー・キューブリック)
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◆スタンリー・キューブリックの監督作品
拳闘試合の日 (Day of the Fight :1951年)
空飛ぶ牧師 (Flying Padre :1951年)
海の旅人たち (The Seafarers :1952年)
恐怖と欲望 (Fear and Desire :1953年)
非情の罠 (Killer's Kiss :1955年)
現金に体を張れ (The Killing :1956年)
突撃 (Paths of Glory :1957年)
スパルタカス (Spartacus :1960年)
ロリータ (Lolita :1962年)
博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb :1964年)
2001年宇宙の旅 (2001:A Space Odyssey :1968年)
時計じかけのオレンジ (A Clockwork Orange :1971年)
バリー・リンドン(Barry Lyndon :1975年) - ウィリアム・メイクピース・サッカレー原作。
シャイニング (The Shining :1980年) - スティーヴン・キング原作。
フルメタル・ジャケット (Full Metal Jacket :1987年)
アイズ・ワイド・シャット (Eyes Wide Shut :1999年)
博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- メディア: DVD
#映画の部屋
怖いイメージがあって、シャイニングしかまともに見ていませんが、イマジネーションと本物の自然、惹かれてしまいます。
by 江戸うっどスキー (2008-09-27 22:09)
江戸うっどスキーさん、nice! とコメントをありがとうございます。キューブリックは、映画という表現手法を信じきっていたのでしょうね。そんな信念を感じます。
by room7 (2008-09-28 09:15)
whiteredさん、takagakiさん、nyanさん、xml_xslさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-09-28 09:16)