過去のない男/アキ・カウリスマキ [ 映画の部屋]
過去のない男(Mies vailla menneisyyttä, L'Homme sans passé, The Man Without a Past:2002年)/アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismäki)
2002年カンヌ国際映画祭で、グランプリと主演女優賞受賞を受賞している。寡黙な作品が多いアキ・カウリスマキの作品の中にあって、カラフル(といってもアキ・カウリスマキらしい...)で饒舌(といってもアキ・カウリスマキらしい)作品となっている。
もし、人生をやりなおせるとしたら?
もし、今と違った人生を送りたいのならば?
周りの環境を変えるだけではなく、自分自身の人格も変わっていかなければならないのだろう。
「人格が変わり、環境が変われば、人生が変わる」...こう書いてしまえば、”元も子もない”。
もちろん、(予想される)クライマックスは、自分の過去を知った男が、過去か現在かを選ぶ”人生の選択の場面”なのだろうが、それはいともあっけない。
しかし、そこまでに至る彼の”主人公”としての活躍ぶりを観ている観客にとっては、安堵の一瞬でもある。
彼は、もともとこういう人間であったのだが、たまたまどこかで、違った道へ行ってしまっただけなんだよね...その、本来の自分を取り戻せば、人生はやり直せるんだよね(あるいは、本来の自分の人生を生きられるんだよね)。...これは、アキ・カウリスマキからの優しいメーッセージなのだろう。
それでいて、この映画が安きに流れていかないのは、カティ・オウティネンが演じる女性の頑さとマルク・ペルトラが演じる男の頑強な顔によるところが大きいのではなかろうか。
...やはりアキ・カウリスマキの映画ということなのだ。
この映画でカンヌの主演女優賞を取ったカティ・オウティネンが、あの「マッチ工場の少女 (Tulitikkutehtaan tyttö:1990年)」だったとは...なんか感慨深いものがある。
◆「過去のない男」オフィシャルサイト
http://www.eurospace.co.jp/kako/
◆「過去のない男」解説
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33151/index.html
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/15459/
アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismäki/1957.4.4〜 )フィンランドの映画監督。
ヘルシンキ大学在学中から映画雑誌に投稿をしている。兄のミカ・カウリスマキが1980年に映画監督としてデビューした時には、俳優として出演している。
1983年、「罪と罰」で監督としてデビュー。
◆監督作品
罪と罰(Rikos ja rangaistus:1983)
カラマリ・ユニオン(Calamari Union:1985)
ロッキーVI(Rocky VI:1986)
パラダイスの夕暮れ(Varjoja paratiisissa:1986)
ハムレット・ゴーズ・ビジネス(Hamlet liikemaailmassa:1987)
真夜中の虹 Ariel:1988)
レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(Leningrad Cowboys Go America:1989)
マッチ工場の少女(Tulitikkutehtaan tyttö:1990)
コントラクト・キラー(I Hired a Contract Killer:1990)
ラヴィ・ド・ボエーム(Boheemielämää:1992)
愛しのタチアナ(Pidä huivista kiinni, Tatjana:1994)
レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(Leningrad Cowboys Meet Moses:1994)
トータル・バラライカ・ショー(Total Balalaika Show:1994)
浮き雲(Kauas pilvet karkaavat:1996)
白い花びら(Juha:1999)
過去のない男(Mies vailla menneisyyttä:2002)
10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス(Ten Minutes Older: The Trumpet:2002)
街のあかり(Laitakaupungin valot:2006)
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#映画の部屋
takagakiさん、nice! をありがとうございます。
by room7 (2008-11-13 22:38)
主人公が、過去に固執しない所が気に入っています。
北欧らしい、インテリアも素敵でした。
by 江戸うっどスキー (2008-12-02 22:42)